これが奥羽新幹線となると話が違ってくる
前回のエントリーで六県合同プロフェクトの報告書でボロクソに言わせてもらった感があったのは素直に認めるべきである。それだけ落胆した内容だったからだ。もっともメインの報告書は「羽越・奥羽新幹線の早期実現に向けた 費用対効果算出等業務 調査報告書」であって、その報告書自体に国土ビジョンや夢などなど入れる必要は全くないのだが、それでも私が抱いていた羽越新幹線像と違うものになっていたのでそう記した次第。
(言い訳するようで気がひけるが、一度は地域ビジョンのことは一定量の評価をしています。)
それでも落胆したのは違いないわけで・・・要約するとこうである。
- 新幹線が欲しいだけのとってつけた報告書
- 少なくとも鉄路の現状を知らない素人が作ったと思われる報告書
- 従って・・・
- 北海道との連携を言及していない
- 羽越新幹線が富山起点が実質の起点でもあると平気で言えている
- 速達タイプも鶴岡市停車ありきで酒田市の可能性のことなど考えていない
- 貨物や地域交通との共存など一言も書かれていない(こちらが大問題)
しかしこの報告書にはもう一面の要素があり、この報告書は羽越・奥羽新幹線の報告書である。そして批判したのは羽越新幹線のことであって奥羽新幹線ではない。では羽越新幹線の項目を削除した形で奥羽新幹線の報告書として見た場合どうなのかと言うことである。その私なりの意見を言うならば・・・
作りたいのなら作ってください。批判はしません。報告書自体はよくできていると思います
である。賛成はしないけど反対もしない。負担するのは山形県と秋田県(その代わりに福島県は新板やトンネル区間内以外は絶対負担させないこと)ですからご自由に・・・といったところでしょうか?
日本初になるかもしれない新幹線
まずこの報告書は建設するためのコスト削減が重要議題となっている。最も日本の国土軸上においてあまり重要な路線じゃないからである。ただ国道13号や東北中央道といった道路においては重要な軸の一つである。ならば新幹線を建設してもいい雰囲気である。
ただ沿線人口がそれほど多いわけでもない。従ってそんなにお金をかけられない。ならば下記に示す2つの日本初の新幹線が出来る可能性があるのです。
- 「日本初の盛土地盤型構造物の整備新幹線」
- 「日本初の単線(整備)新幹線」
これらのことは報告書に書かれてある通りなので詳しい内容は今回割愛します。こちらでは報告書の一部を引用しておきます。単線新幹線ができれば今後の鉄道技術に有効な一手だと思います。
羽越・奥羽新幹線の早期実現に向けた 費用対効果算出等業務 調査報告書P48 より引用
続 日本初になるかもしれない新幹線
あとこの奥羽新幹線にはもう一つの可能性があります。
と言うのも、この並行在来線である奥羽本線の特徴が2つあって、ひとつは「福島〜新庄間が標準軌の鉄道であること」、もうひとつは「貨物の路線でないこと」
羽越新幹線は貨物の重要路線であるので廃線になることはないが、その代わりに在来線自体が負の遺産になってしまう。一度新幹線を建設してしまえば不採算だからといってすぐに逃げる(つまりすぐに撤退する)ことができない。だから並行在来線や貨物輸送の可能性などあらゆる物流と対話し採算性を見つけ、はたまた法外的に国土軸を語らなきゃならないのである。
しかし奥羽本線はそれがない。そういったしがらみが無い。貨物が通っていないので今後の地域輸送だけをそれぞれの県が考えれば良い。つまりいざとなれば新幹線ができたら並行在来線を潰すことができるのだ。ましてや福島〜新庄間では標準軌路線である。もう既存路線からは独立しているのでそのような障壁はない。
と言うことであくまで私案だが、いっそ在来線と取っ替える条件で「新在直通新幹線」から「奥羽本線から奥羽新幹線に生まれ変わった新幹線」と言う在来線廃止を前提条件とした整備新幹線を作るなら面白いと思います。もしこれができたらこれまた日本初になると思います。
奥羽新幹線を福島県に頼ってはいけない
そんな奥羽新幹線構想ですが、残念ながら福島県側にフル規格新幹線建設を求めてはいけないです。なぜならひとつは福島県にはメリットがほとんど存在しないことが挙げられます。従って福島県側に建設を負担を願っても同意してくれないだけなので、福島〜庭坂間は奥羽線存続ということになります。
あとひとつはこれです。
これを作ることは東北新幹線や山形新幹線や秋田新幹線に遅延が生じた時に、この福島駅の構造のために東北新幹線グループのダイヤ全体が乱れることを防止する救世主的な工事になります。
ただこれを作ってしまうと福島駅分岐のフル規格新幹線が物理的に建設不可能になると思います。少しその辺りが現地踏査をしていないので今はなんとも言えないですが、多分・・・。従って福島〜庭坂間は奥羽線存続とし、(仮称)新板谷トンネルから奥羽新幹線が現実的になるかと思います。
(あとがき )
今回は集中してエントリーをした次第。建設ありきの報告書に写ったのはしょうがないところ。始めに話したとおり「羽越・奥羽新幹線の早期実現に向けた 費用対効果算出等業務 調査報告書」なのでお金の話になるのは仕方がない。
整備新幹線の話になると並行在来線の話になるしどうしてもお金の話になるのは致し方のないところ。なので並行在来線の上下分離方式・上下集中方式やこれからの貨物の話や青函トンネルの話にまで踏み込みたいと思っているが、もうひとつ本来の「西蒲原郡」や「弥彦角田山麓」の話も進めたいと思っているのでとりあえず原稿を書きたくなったら書くけどまずは地元の話を記したいのでひとまず筆を置くことにする。