さてここで地球儀を見てみよう:”山貴、”的日本海国土軸のススメ(5)

 さて前々回は前回は全国総合開発計画に記載してある日本海国土軸と逆さ地図について、そして前回は国土形成計画の「国土づくりを支える参画と連携→横断的な視点」より日本海側においてネットワークによる地域連携もアリなのでは?についての雑感(概要)を記した。

 以前の投稿までは視点を日本国内に置いていたが、今回は国外にも目を向けてみたい。

まずは環日本海(北東アジア)と北極海航路についての引用文紹介

<引用文紹介>環日本海(北東アジア)について

環日本海(かんにほんかい)
日本海を取り囲む地域を指す名称。日本海に面する諸国の都市の間の政治・経済・文化交流を深めようとする環日本海構想から生まれた名称である。
(中略)
韓国、北朝鮮のように「日本海」の名称を拒む国もあるため、代わりに「北東アジア(東北アジア)」などという名称でこれらの国々の連絡会議が行われることもある。

環日本海 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

北東アジアの地図:公益財団法人環日本海経済研究所

 環日本海経済圏構想
 ロシア沿海地方、中国東北部、韓国、北朝鮮、日本の日本海側を中心とした地域で経済発展を目指す構想。1980年代後半から叫ばれ始めたが、ソ連崩壊後のロシアの混乱や中国東北部の開発の遅れなどで、日本の中小企業の進出は難しい状態が続いた。経済のグローバル化で圏域を設ける意味が薄れたこともあって、最近は言葉として使われることが少なくなったものの、環日本海での経済交流は徐々に進んでいる。

(2016-01-10 朝日新聞 朝刊 福井全県・1地方) 及び (2016-01-18 朝日新聞 朝刊 石川全県・1地方) コトバンクより引用

 また新潟市も環日本海に対する期待が大きい。

 環日本海地域をはじめとする世界との交流
 新潟市はロシア極東、中国東北地方、朝鮮半島などの対岸地域と歴史的に密接な関わりを持ってきました。国際拠点港や国際空港、新幹線や高速道路などの交通網を擁し、韓国・ロシア・中国の3領事館が開設されている本市は、北東アジアをはじめ様々な国・都市と日本を結ぶ交流拠点となっています。
 また、本市の海外拠点による情報収集・発信、企業の海外進出支援などを通して経済交流の促進に努めるほか、食と花、環境・エネルギー、文化・芸術、スポーツなど様々な分野で交流を行っており、その対象は北東アジアを中心にアジア全域や欧米へと広がっています。

環日本海地域をはじめとする世界との交流:新潟市HP

<引用文紹介>北極海航路について

 北極海航路(ほっきょくかいこうろ、英語:Northern Sea Route、NSR、ロシア語:Се́верный морско́й путь、ラテン転記例:Severnii Morskoi Put
 ユーラシア大陸北方(ロシア・シベリア沖)の北極海を通って大西洋側と太平洋側を結ぶ航路である。


ヨーロッパとアジアを結ぶ航路。赤線はスエズ運河・マラッカ海峡経由の一般的な航路、青線がユーラシア大陸の北を回る北極海航路。(ただし千島列島を抜けて宗谷海峡を通るルートはあまり利用されない)

北極海航路 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』<画像もこちらより引用>

 (参考ページ)  
北極海航路による貨物輸送の将来性とは?:MS&ADホールディングス  
商用利用が始まった北極海航路:マネクリ

 なお個人的に北極海航路は現代の北前船の印象を持っている。

ここで地球儀とにらめっこ

 ひと通り引用文という形で資料提示したので本題に入る。
 みなさまは社会科で地図の勉強をされたかと思うが、地図の投影方法に幾つか種類があるのはご存知のことかと思う。

 地図投影法学習のための地図画像素材集という佐藤崇徳さんという方のホームページで紹介されていますが、主にメルカトル図法やモルワイデ図法や正距方位図法という名前は覚えている方も少なくないと思う。

(参考)
 地図図法とその特徴(モルワイデ図法・メルカトル図法・正距方位図法) / 中学社会 地理 by 早稲男:マナペディア 

 ただ地球という球体を無理やり平面状に投影しているのが地図なのでどこかに無理が出てくる。面積が合わなかったり角度が合わなかったり距離が合わなかったり・・・と。
 なのでそれを解消するには平面よりも球体の方がやっぱり良いわけで・・・

 ってことで地球儀である!

 ここで北極海航路とマラッカ海峡スエズ運河経由の航路をイギリス終点まで糸で大体の距離を測ってみる。

 まずは北極海航路

 続いてマラッカ海峡スエズ運河経由

そして結果がコレ!

 多少誤差があるのはご了解の上とした上でコレだけ違うのである。

 推定ではあるが・・・北極海航路:推定12,900km マラッカ海峡・スエズ運河経由:推定21,600km 差は推定8,700km

 もちろん差を出す為にあえてイギリス終点とした。ドイツ終点も同じような結果となる。イタリアとならそこまでの差が出ないと思うがそれだけ距離の面からすると北極海航路の方に有利となる。

 写真では紹介していないが、太平洋側と日本海側との比較をすると、オーストラリアやインドネシアが相手以外ならどの場所でも300km〜400km太平洋側に有利に働くようだ。(オーストラリアやインドネシアはもっと差が出る)

 ただ裏を返せば国際航路の距離からすればたかが「300km〜400km」の差なのである。このくらいなら太平洋側の補完・バックアップとして成り立つはずだし、また東南アジアや中国からの北極海航路の主要路線たる日本海および環日本海の可能性を秘めていると言わざるを得ないのではないだろうか?
 先ほども軽く言ったが現代の北前船たる可能性を秘めているのが北極海航路なのである。

国内の意識と国際的視野の融合と(兼あとがき)

 前回のエントリーで

 それは東京と大阪をそれぞれの核と据えた場合、(新潟と)上越から金沢までのラインが重なる。それらを結びつけることで秋田から出雲までの日本海ネットワークへと可能性の種が生まれてくる。

 また日本海側を結ぶのに陸上交通だと少し難しいところがあるが、海上交通だったらどうだろう?・・・北前船文化の再考&再興が出来るかもしれない。  そうなったら太平洋側のバックアップとしての日本海や環日本海(北東アジア)時代に繋げられることができるかもしれない。

 と記した。国内においてどの都市が主導権がどちらに握ることになるか?!に焦点が行きやすいが、国際的視野であればどこの都市もみんなが頑張ることで日本海側の地位を高めて行く結果になる。もちろん福岡や北九州や小樽や札幌はたまた太平洋側の苫東地区など連携できるところは様々である。

 先ほども言ったがもう一回言おう。日本海側はまだまだ可能性の宝庫なのである。

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