山貴、が勘違いしていた中速新幹線:羽越新幹線第3弾

 羽越新幹線について4回にわたり新潟〜新青森間を妄想案として展開してきた。ただ急造で記事を書いたせいか私案自体に矛盾性を感じてきた。
 そのひとつが中速新幹線に対する考え方である。

 結論から言う。中速新幹線自体を私自身間違って認識しており、以前「羽越新幹線は中速新幹線を導入すべき!」と言っていた発言をこの場で撤回する。現時点において中速新幹線というテクノロジーは肯定しつつも新幹線のテクノロジーに合うとは限らないからが主な理由とする。ただしテクノロジーを積み重ねるのは可。

そもそも中速新幹線の話題元は?

鉄道高速化講演会(平成28年2月5日開催) – 酒田市
鉄道高速化講演会(平成29年2月15日) – 酒田市

中速鉄道化で急浮上する羽越新幹線の可能性 – 財界にいがた(2019年07月26日)

 上記に引用したが、酒田市が前のめりになってて新潟県の花角知事が追随するような発言をしている。

 そして調べて行ったらその技術の根源がどうやら株式会社ライトレールの阿部社長によるものとわかった。

株式会社ライトレール
株式会社ライトレール各種資料
社長阿部等氏によるTwitter

ちょいと比較でも・・・

 中速新幹線について直接的なウェブサイトはないのですが、検索すると以下のようなPDFファイルにヒットしたので表記しておく。

(株)ライトレール「中速新幹線」構想の内容
日本海中速新幹線のご提案

 このPDFの内容は実際に見て欲しいのでここではあえて表記しないことにする。各自で確認して欲しい。

 そこで阿部氏の提案した内容と私の意見とここで比較する。

 まずは新潟以北について

「新潟〜新青森」阿部氏案山貴、案
軌条方式三線軌又は四線軌三線軌条又は四線軌条
(つまり阿部氏と同じ)
架線・電源方式(明記なし)交流25,000V(50Hz 60Hz)
最高速度200km/h(基本)200km/h
線路既存線路新設線路による高架化
既設路線は撤去
踏切対策AIによる画像解析・小さなものまで検知し信号システムと連動高架化により無踏切
並行在来線問題存在しない駅の付け替え移転により存在しないようにする。
もしくは既存線路を撤去してバス・BRT・DMV運行にする
駅構造既存駅を流用(在来線駅)
国鉄型通過線付きの相対性2面4線を基本
(新幹線停車駅)
駅による
運行車両台車の床面高さ1.0m
客室の床面高さは台車床より20cm下げスロープを付ける
室内天井高は 1.9m に抑える
屋根厚はエ アコンダクトや照明を工夫して 0.1mにする
そうすると車高 は 2.8mにできる
現行の新幹線は3.6m位 幅は4列座席
断面積として は 70%弱

(在来線は明記なし)
既存の車両を使用

新幹線はE3,E6,E8(予定)もしくはアップグレード車両

在来線は狭軌使用ならE531系を充当、もしくは標準軌にあった気動車を新造
費用・工期など費用はフル規格建設の5分の1程度
工期はやる気になれば早く出来る
あとは各所研究所やJRや国の対応次第
費用はそれなりにかかる
儲かるかどうかはわからない
あとは財源と国民のオーディエンス次第

 続いては富山〜新潟について。

 諸元など共通事項は上記に倣う。なお前回資料編として表記した2010年案も併記比較する。

「富山〜新潟」阿部氏案山貴、案山貴、(2010)案
路線形態糸魚川から分岐・在来線へ
路線は3線軌とする
上越妙高から分岐
フル規格路線とする
糸魚川から分岐・在来線へ
軌条方式は狭軌
運行形態(明記していない)大阪〜新潟までの北陸新幹線として運行する(明記していない)
進行形態既存信越線を流用
宮内駅で新幹線に流入
上越妙高から長岡まで新規フル規格
停車駅は柏崎
既存線路を流用
北越急行路線を走行する
魚沼丘陵〜五日市間を渡り線新設設置
浦佐駅から新幹線に流入
並行在来線存在せず存在する
貨物列車が走行するので廃線にできない
存在せず
車両(上記新潟〜新青森間の車両を参照)

(3電源に対応できるかは別問題)
W7/E7系を使用3電源に対応できるGCT(フリーゲージトレイン)を新造

(この時点でこの案は破綻する)

 ざっと見てこれだけの論点が出てくると思う。

雑感

 要は私の案はあくまで新規建設路線による移転で阿部氏案は既設路線流用である。中速新幹線が既設路線流用というのが条件なら、私案は中速新幹線でないということになる。

 このような勘違いが起きた理由は、新幹線上に在来線や貨物列車を走らせることにあり、それによって速度を落とさなければならない状況が予想できるので260km/hや300km/hができなくなるという意味で中速新幹線という言葉を使ったのだが・・・どうやら間違いだったようである。

 阿部氏案でどうも腑に落ちないのが踏切対策である。海外の線路と違って日本のそれも田園地帯であれば、国道が近かったり浮遊物などのものが線路に落ちてくるような状況が予想できる。それらが精度の高いものかどうかはやって見ないとわからない。ましてやカーブの多い線路が多いと思うのでカントをつける工事も多くなると思うし。

 ただテクノロジー的には面白いとも思えるので、ここは一度福島〜米沢間でこう行った工事をやっていてはいかがだろうか?車両は試せないがハード的なものなら実験できるだろう。
 この中速新幹線の羽越新幹線の導入について、いまの時間帯は否定せざるを得ないが実績は積み重ねる必要があると思う。話はそこからである。あとは国とJRがどう動くか・・・。


追記・注釈

 前出した2010年案はこちら

4ページ目の信越線高速化を参照されたい。

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