改めてここで明確に述べておく

前回までは羽越新幹線の上越妙高から長岡の建設の意義を首都圏と関西圏のバックアップ機能の面から話した。そして「整備新幹線建設とは日本としての国土のグランドデザインをどうしたいのかという思想の話なのである」とも記した・・・あ、この言葉もう1度出てきます

では信越線高速化の他にもう1つ記した羽越線高速化・・・今回は羽越新幹線の本丸部分である新潟〜新青森の区間の話をしたいと思う。

現状は以前私のエントリーで記した通り山形県に既成同盟会を入れるほどの熱の入れようであることは既に記している。

山形県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟

秋田県もお熱である。

「フル規格の奥羽新幹線・羽越新幹線の実現に向けて」リーフレット(PDF)

「フル規格の奥羽新幹線・羽越新幹線の実現に向けて」リーフレット(PDF) より

 むしろ秋田県側は奥羽新幹線の方が時短になってお熱になりそうである。恐らく山形県側も置賜米沢・村山山形・最上新庄という主要都市を結ぶ意味でも奥羽新幹線の方が切実かもしれない。

 それを踏まえた上で今回は羽越新幹線の話なので、羽越新幹線限定で意見を申すならば、きっぱりと「羽越新幹線の新潟〜秋田〜新青森は要らない」と伝える。以前のエントリーで「もし妄想で作るとしたら」というルート案を示してはいたが、あくまでやはり要らない・・・というスタンスだ。

ちなみに奥羽新幹線となると・・・

 では奥羽新幹線となるとどうかというと・・・やはり要らないのだが(笑)、それでも福島〜米沢限定だと作っても良いと思っている。ただしその条件として庭坂〜関野間の路線の廃止が条件である。もっとも福島市内の用地確保が苦難を極めそうあけど・・・。

 リーフレットに約2時間半と試算しているようであるが、個人的にはきついと思う。北陸新幹線(上越新幹線)高崎駅のように福島駅を高速通過できたとしても、停車駅が山形駅のみで済むはずがない。こちらは3時間弱が妥当ではなかろうか?
 羽越新幹線の約3時間は恐らく妥当であろう(下記のとおり私は3時間10分台とにらんでいる)・・・ただしこの時間は大宮〜新潟ノンストップが条件となりそうだが。

反対の理由

 話を元にもどしてなぜ羽越新幹線の新潟〜新青森間に消極否定的かというと

  • 採算性の問題
  • 貨物路線たる羽越線を潰すわけにはいかない
  • 秋田〜新青森間に存在価値が見いだせない

以上が理由の本線となります。

 

「ちょ待て! あんたさっき『整備新幹線建設とは日本としての国土のグランドデザインをどうしたいのかという思想の話なのである』って言ったばかりじゃないか!」

 

そう言われるのを覚悟の上で記し話していますが、これにはちゃんとした理由があります。

まず採算性の問題から

 現在新潟から庄内・秋田方面向けに特急いなほが運行されています。2021年1月の時点で7往復の運行で、うち秋田行き3往復・酒田行き4往復です。

 現在秋田新幹線こまちが運行されているので東京からの運行が15往復でいずれも3時間40分台から4時間以内で運行されていることから秋田行きの新幹線はこの状態で十分と言えます。仮に羽越新幹線が開通したところでおそらく3時間10分台、いろいろ犠牲にしてまで導入する羽越新幹線とは?と言うことになります。

 また東北地方の中心都市である仙台を通ることでフル規格にはない需要もあります。従って仙台を避けてまでもわざわざフル規格での秋田行き新幹線導入するメリットが薄いように思え、また沿線住民人口をにらむと採算性が合わない懸念が出てきます。

貨物路線の話

 次に貨物路線の話についてだが整備新幹線を建設することは同時に並行在来線の問題も解決しなくてはなりません。その方法はいくつか存在しますが、方法のひとつとして当該路線をいっそ廃線にしてバスやBRTに転換する選択肢もあります。その方がランニングコストを抑えることができるからです。

 しかし羽越線にはこの方法が使えないのです。なぜなら羽越本線は主要貨物路線であるからです。従って貨物路線とJR東日本運行の四季島を走らせるためにどうしても鉄路を残さないといけない。つまりランニングコストがそれなりにかかるということです。

 先ほど思想の話をしましたが思想を達成するためには、グランドデザイン優位にするには理由となる大義名分がないと建設できないと思っています。

 このことは上越妙高~長岡間についても思考しましたが、こちらはグランドデザインを構築する重要性のほうが優位と立ったのです。理由は関東件関西圏のバックアップについて。

 また、現実では北陸新幹線では鉄路を残しました。それは北陸3県と新潟県が決めた事なのですがここも貨物路線を走らせなくてはならないわけで、同じ覚悟がと勇気が山形県や秋田県にできるかどうかという事です。北陸新幹線よりも収益化が低そうな羽越新幹線はハードルが高そうです。

 当方の妄想ルート案もその負担(並びに新潟県の実質負担を下げようと)新発田~村上間だけは新在両方走らせる無理を承知で無茶苦茶な究極案を提示しました。

 そのような思考の中でなんとか本丸の路線においてもグランドデザインが優位にするにはと考えてもどうしても引っかかる箇所があるのです。

 秋田~新青森間です。

日本地図を見てわかる事

 日本地図を広げるとわかるのですが、北陸3県は位置的に東京と大阪の間に存在します。新潟は中央の位置ではないが大阪からの文化圏のギリギリ射程範囲内にあります。この4件は古代の五畿七道における北陸道なわけです。結びつきが可能な位置関係にあります。この範囲なら新幹線で運行できる範囲と思っています。

 しかし秋田や庄内地方となると大阪へは遠くなります。五畿七道の考え方から以前は庄内地方も「北陸道出羽郡」の時代もありました。しかし時代が経るにつれ「東山道出羽国」となり現在の東北地方が形成されていきます。
 また現在の尺度においても羽越新幹線ができた場合大阪から4時間余りで庄内地方に届くとは思います。

 ただ現在の地理観を無理に崩してまで庄内地方と新幹線で大阪とつなぐことよりも大阪とは飛行機の方が後々効果的な面が出てくると思います。

 新幹線は逃げられないが飛行機は逃げられますから。

日本海側東北地方・旧出羽国として新幹線を誘致

 現在誘致合戦は山形県の方がお熱ですが、本気で新幹線を誘致したいのならどうしても秋田県との共闘が必要になります。そのことについては前述した通り山形県と秋田県が新幹線が必要だと運動をしてきてます。でもそれはあくまで奥羽・羽越新幹線だからこそであってこの運動は2つのセットものです。

 しかし羽越新幹線単体ならパンチは弱くなってしまいます。なぜなら庄内地方にインセンティブをつけられる観光資源があってもビジネスユースとして弱いものが否めません。山形県の県庁所在地を庄内地方に持ってこない限りパンチは弱い。となると羽越新幹線単体であれば庄内地方延伸よりも秋田までの延伸が鍵になりますし必須の条件でしょう。かと言って秋田終着も莫大な建設投資比較したら未知数なところも出てくると思います。奥羽・羽越新幹線とセット物ならなおのこと。

 前述したように「現状3時間40分台から4時間以内で運行されている秋田新幹線vs仮に羽越新幹線(または奥羽新幹線)が開通したところでおそらく3時間10分台」に羽越新幹線が先に建設されたとしても効果はあくまで未知数。ちなみに秋田までなら羽越新幹線でなく奥羽新幹線を建設したとて新幹線の効果はあくまで未知数。福島・山形・秋田という県庁所在地を結んだとして・・・でもある。

 歴史観から見ても五畿七道時代庄内地方は「北陸道越国出羽郡」のという時代がありました。しかし後に「東山道出羽国」として分割し、秋田県も出羽国となりました。後に羽前羽後と別れましたが。従って秋田と共闘で日本海側東北地方・旧出羽国として新幹線を誘致が自然な流れです。

 しかし奥羽新幹線にしろ羽越新幹線にしろ新青森まで開通出来たとしても既に新青森までは東北新幹線として開通しているのでわざわざ日本海ルートを選ぶ必要性がありません。したがってどんなに延伸したとしても秋田までになります。秋田までの限定なら置賜・村山・最上の各地方を通る奥羽新幹線の方が効果はありそうだが、庄内地方を通る羽越新幹線を通るとなると・・・である。

 ちなみに整備新幹線選出の相手は四国新幹線になりそうです。こちらは相手が徳島~香川~愛媛~大分ですね。いわば日本海国土軸vs新太平洋国土軸と言ったところでしょうか?こちらの方が勝ち目がありそうです。もっとも紀淡海峡と豊後水道を渡らなきゃならない辛さはあるが。

 これらの理由から新幹線とは違う交通体系のあり方・貨物輸送の大活用の方を狙った方がいい・採算性の問題という見方から羽越新幹線不要論を唱えています。

 ただ、ただ、それでも羽越新幹線の建設するための大義名分がないのか?・・・と言われれば、個人的には僅かながらあると思います。ないわけではありません。ないわけではないですが・・・・・・これをするにはちょっとリスクもあるなぁと感じています。
 では次の項にてないわけではない大義名分を話していこうと思います。キーワードはもう何回も言っている「整備新幹線建設とは日本としての国土のグランドデザインをどうしたいのかという思想の話なのである」こと。

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