前回は羽越新幹線の上越妙高~長岡までの建設意義として国土のグランドデザインを見ながら首都圏と関西圏のバックアップ機能として役割を果たすべき新潟とそれに付随する上越新幹線新潟空港延伸について記した。そのバックボーンとして高速道路の北陸道全線開通が重要な役割を果たしているとも記した。

今回はその上越新幹線新潟空港延伸について記したい。検索をすると色々と出てくるので各自検索されたほうが良いかと思う。

ここでの引用文献は少々古い記事であるが、新潟県交通政策局空港課の策定報告と東洋経済オンラインさんの記事を掲載し引用する。

「新潟空港アクセス改善の基本的考え方」及び「新潟空港の路線ネットワーク戦略2017」を策定しました

上越新幹線「新潟空港乗り入れ」は実現するか 地元で高まる「空港延伸」「羽越新幹線」の期待(東洋経済オンライン)

新潟空港延伸の必要性

 まず東洋経済さんが記しているメリットを挙げてみる

 1つ目のメリットは、上越新幹線沿線から新潟空港への高速鉄道によるダイレクトアクセスが実現する点だ。羽田空港や成田空港と距離が離れている群馬県も、上越新幹線の新潟空港延伸を大きなメリットが期待できるプロジェクトであるととらえている。

 たとえば、高崎駅から羽田空港への鉄道アクセスでは、新幹線・在来線利用とも途中で必ず乗り換えが必要であり、また東日本旅客鉄道(JR東日本)による羽田空港アクセス線が開業して直通列車が利用できるようになったとしても所要時間は約2時間は要すると予想される。成田空港へはさらに時間を要するのが現状だ。

 2つ目は、新潟空港へのアクセスが向上すれば、新潟―関西国際空港間のピーチ航空の1往復にとどまっているLCCの誘致を促進し、新潟県来訪者の増加を図る道筋も見えてくることである。

 3つ目のメリットとして、鉄道アクセスがない新潟空港周辺と新潟駅の間のアクセス向上により、空港利用者のみならず、周辺地域の人たちの生活路線としての利用も期待できる点だ。ただし、生活路線としての利用を促進するためには、西日本旅客鉄道(JR西日本)の博多南線と同様に、利用しやすい特急料金の設定や途中駅の設置がカギを握る。

ただ新潟県は慎重姿勢

ただ新潟県は慎重姿勢だ。

  • 空港アクセス改善の戦略目標は、新潟空港利用者の増加である。
  • 新幹線延伸案を含む軌道系アクセスは、利用者増加などの効果も期待される ものの、不確実な要素や採算性等の課題も多く、現時点で整備着手を判断でき る状況にないため、長期的な需要動向等を見極めつつ、再度検討・意思決定を行う必要がある。
  • 従って、まずは、県内及び近隣県からの空港利用者や訪日外国人旅行者にとっての「利便性の高い地方空港」を目指し、直行リムジンバス、タクシー、自 家用車及びレンタカーの利便性向上など、短中期的に実施可能な取組を総動員 するべきである。
  • なお、その際には、空港と新潟駅の間だけではなく、県内市町村や近隣県等 も視野に空港アクセスの改善策を検討していく必要がある。

 また更なる引用は省略するが、ネットの反応を見ていると待望論と不要論が入り混じっている現状。

 個人的雑感として新潟空港のアクセス向上” だ け ”なら不要である。記事を書いた証拠がないので信頼性に欠けそうだが、元来貨物線流用案を支持してきただけに新潟県が2017年に発表したアクセス案の一つである貨物線流用のDMV活用を支持したいところ。逆に言えば今のリムジンバスでも悪くないと考えているところもある。

新潟港将来構想の存在

 でも、新潟県はこんな将来構想を提示しているのをご存知だろうか?

新潟港将来構想

新潟港将来構想(概要版)より引用

 ここで示されている新潟港西港区における将来の空間利用計画(ゾーニング)のうち案①を選択した場合の概ね30年後(もちろん当時計画された時点に暫定で設定したのであって30年後にできると約束されたわけではない)の姿として総合交通拠点ゾーンを新潟空港に置いた場合 と 上越新幹線の空港延伸 と 羽越新幹線・(仮称)北陸新幹線支線の新潟空港延伸 が一気にやってきた場合、日本に類を見ない交通ターミナルが新潟にできることになる。当然新幹線と空路だけじゃない、新幹線駅を降りたら目の前は佐渡汽船だ。

新潟港将来構想(概要版)より引用

 この凄さは一地方の地域活性案などと言うチンケな話じゃない。首都圏空港群と関西空港群のバックアップ機能の問題を解決してしまう。首都圏へは2時間弱・関西圏へは3時間半程度(これはおおよそで4時間はかからないはず)で行き来できる。

 この話は上越新幹線の平時の群馬県もそうであるし、有事の際の石川県に行きたい人も悪い話ではなかろう。

 平時の運用もANAさんは伊丹空港線は撤退する危機があるが、その分LCCのピーチさんの関西空港線は増発できる。安定性の新幹線、値段のLCCで勝負になるはずだ。後は新潟空港発の海外線が誘致できれば尚更よし。

 従って

  • 新潟港将来構想を事業化し新潟空港を総合交通ターミナルとする
  • 上越新幹線の新潟空港の延伸
  • 羽越新幹線の(仮称)北陸新幹線支線部分を建設し新潟駅・新潟空港まで延伸

のどれかひとつ欠けても駄目。欠けるくらいならいっそしないほうが良い。空港アクセス単体だけならいくらでも方法がある。上越妙高駅からフリーゲージでもミニ新幹線でもなんだって方法がないわけではない(ただし個人的には否定的であるが)

整備新幹線建設とは

 重ねて言う部分もあるが新幹線を作るのは一地方の地域活性案で片付けるほど甘い話ではない。日本としての国土のグランドデザインをどうしたいのかという思想の話なのである。

  • 国土のグランドデザイン
  • 東京の一極集中の是正
  • 五畿七道と江戸時代の五街道から見る街道の歴史観
  • 北前船の歴史観から見る日本海交通の重要性
  • 東日本大震災で味わったバックアップの重要性

この項の最後にもう一度いう

整備新幹線建設とは日本としての国土のグランドデザインをどうしたいのかという思想の話なのである。

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